【連載】大江千里の50をハタチと数えたら #4

2017年05月07日
大江千里コラム_#4_423

Mischievous Mouse
シーラジョーダン、年をとるほどかわいくなるいい話。

歳をとるほどかわいくなる人。最新アルバム「Answer July」でフィーチャーしたジャズシンガー、シーラ・ジョーダン。1928年デトロイト生まれ。今年の誕生日で89歳に。ビー・バップ時代のジャズをベースに、ヴォーカルをあたかも楽器を奏でるようにして歌う「ボーカリーズ」というスタイルが彼女のジャズだ。

僕との出会いは2枚目のアルバム「スプーキーホテル」で東京ジャズ出演が決まり、彼女をゲストシンガーに招いたことがきっかけ。おしゃれでジョークのセンスがあって公演中バンドのみんなは彼女といると笑いの渦だった。打ち上げに寿司屋に行くと「生魚は食べないの」と言うので「じゃあ鰻か卵は生じゃないですよ?」と言うと、「人生で一番嫌いな食べ物は長いもの(鰻は長い)と卵なの」え?どうしようと慌てる僕を尻目に、「これがあればベストよ」と彼女が頼んだのはバニラアイスクリームと味噌汁。いたずらっ子の顔でメンバーの若い男子に囲まれアイスを突っつく姿はまさに少女の顔。

僕の中に彼女に歌ってほしいアルバムのアイデアがあったので、NYに戻りすぐアパートにお邪魔する。お土産に北海道ロイズの生チョコ持参で。「これ今までの人生で一番おいしい」とニコニコ頬張るシーラが「あなたも一緒に食べなさいよ」と勧めてくれた。一口頂き「実は」と単刀直入にシーラにアルバムの話をすると、「あなたはお金や名声が一番の人じゃない。ジャズに選ばれた音楽人。わかった。ただし1つだけ約束して」。緊張と不安で次の言葉を待っていると「私があなたの思うような歌が歌えてなかったら正直に言ってほしいの。クビにして。責任を持って私より素敵な歌手を代わりに用意するから」。身が引き締まるような言葉に背筋を正し、「はい!」と答え帰宅し、一気に4曲書いて翌週再び彼女の元を訪れた。「あら、いいじゃない。やりましょう」。この瞬間彼女の参加が決まった。

お会いすればするほど実に話題が豊富でファンキー。「プリンスの死因ってなんだと思う?」「公に発表してる年齢1つ若く言っちゃった」「イタリアツアーはフードが最高!」変幻自在なトピックスに目の奥がキラキラ。「Answer July」の中の「Tiny Snow」という曲のPV(音楽ビデオ)の撮影時、メイクの人に来てもらったのだが「私をこんなに素敵な気持ちにさせてくれてありがとう」とその人を抱きしめて涙ぐんでいた。人は命をかけて夢中になるものがあると年齢など関係なく「無心」で「無邪気」になれるのかもしれない。若い頃の写真を見ると凛として知的な印象だが、現在は齢を重ねた分チャーミングで包容力に溢れている。ますますシーラに夢中。こんな風に歳を重ねたいと思う人生の大切な大先輩である。シーラがミッキーマウスと同じ年同じ月同じ日に生まれたので、ジョンヘンドリックスがそれをマイケルというネズミにして詞にしてくれたこの曲をどうぞ!

▶︎Mischievous Mouse(YouTube)
▶︎Tiny Snow(YouTube)

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<大江千里(Senri Oe)>
47歳でジャズの音楽大学に入学、51歳で卒業、その年に自身のジャズレーベルを設立して、ニューヨークのブルックリンを拠点に4枚のアルバムをリリース。精力的に世界をツアーするピアニスト大江千里が中西部にやって来る。
「50をハタチと数えたら」は、50歳−30=20歳という筆者の頭の変換図式で、現在56歳-30=26歳という。2度目の「大青春」を泣き笑い謳歌する筆者がANGLE info読者に独占お送りする「抱腹絶倒」で「ほろり」とする「いい話」を10話お送りします。

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