【連載】大江千里の50をハタチと数えたら #8

2017年05月19日
大江千里コラム_#8_423

The Very Secret Spring
ローレンとの大人のいい話。

シンガー達との共演アルバム「Answer July」の制作に関わる作詞家を考える時、シンガーソングライターがいいなと思った。Jon Hendricks氏によるSheila Jordanが歌う曲2曲「Tiny Snow」「Mischievous Mouse」、Theo Blackmann氏が歌った「Just a Little Wine」以外に、Becca Stevensに作詞と歌をお願いした表題曲「Answer July」、Lauren Kinhanに同様に「Without any moon or rain」「The Very Secret Spring」「The Garden Christmas」。

自分自身もそうだったので、歌と詩が同じ人が描く独特なニュアンスが好きでLaurenには日本ツアーもお願いした。招聘(しょうへい)先ブルーノート東京の担当の方が「あの、ローレンですよね?」と興奮を隠せない。ジャズ好きにはたまらない彼女の来日だが、実際に始まると、気さくでお茶目で気を遣う人Laurenに皆釘付けになった。

最終日の青山ブルーノートのアンコールで「KUMAMOTO」を渡辺美里さんに歌ってもらうことにした。全くのシークレットゲスト。この日美里とLaurenは初対面だ。頭の中で「もし彼女達が一緒に曲のサビをハモってくれたら、なんて最高だろう」と思った。しかしサプライズは決めてかかると失敗する。成り行きに任そう。本番が始まり最後の曲になる。美里が歌い始めるとLaurenが2歩ほど後ろに下がる。そしてサビになると、完全4度上のインターバルでLaurenが日本語でハモり始めたのだ。背筋がゾクゾクくる。曲が終わり大きな拍手に包まれ2人が抱き合う。そういえばツアーの旅先で「『KUMAMOTO』の歌詞をローマ字にして」「ここの発音はどう言えばいいかな?」と聞かれたことはあったが、まさかここまで完璧に歌うとは。

もう数年前アルバムにLaurenがいいと思って初めてカフェで待ち合わせした日、我が家で歌詞合わせした日、実際のレコーディングの日、ツアーで一緒にラーメンを食べた日、横浜で観覧車に乗って大騒ぎした日、歌の行間にはそれぞれの風景があり、真剣にキャッチボールした数だけ、その濃淡がはっきり鮮やかになる。

アメリカに帰ると感謝祭が訪れる。Laurenから「ね、家族と友人だけの小さなご飯、ぴと一緒に来る?」と誘いをもらう。ターキーを頬張りピーカンパイに舌鼓を打った僕は、何年後かに2人で新しい画用紙に「KUAMAMOTO」の〝サプライズ〟の続きをまた描きたい、と思った。

年が明けてLaurenは自身のコーラスグループNew York Voicesの活動に大きく邁進している。

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<大江千里(Senri Oe)>
47歳でジャズの音楽大学に入学、51歳で卒業、その年に自身のジャズレーベルを設立して、ニューヨークのブルックリンを拠点に4枚のアルバムをリリース。精力的に世界をツアーするピアニスト大江千里が中西部にやって来る。
「50をハタチと数えたら」は、50歳−30=20歳という筆者の頭の変換図式で、現在56歳-30=26歳という。2度目の「大青春」を泣き笑い謳歌する筆者がANGLE info読者に独占お送りする「抱腹絶倒」で「ほろり」とする「いい話」を10話お送りします。

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