【連載】男親の視点 空手道場から押忍!「私の戦歴 マンソンギブソン戦 <ジェリーとの思い出>」

2017年07月09日
士道館_650-423

私の戦歴 マンソンギブソン戦 <ジェリーとの思い出>

30年前渡米したての頃、面倒見のいいジェリーという日系人の友人ができた。自分を『マッちゃん』と呼び永住権や仕事探しなどで本当に助けてもらった。そのジェリーがシカゴサウスサイドのアメリカンキックボクシングのチャンピオンとの試合を見つけてきたことがあった。それがマンソン・ギブソンだった。交渉人を買ってでたジェリーだが、人が良い上に格闘技はズブの素人でまとめてきたルールは相手の条件を丸呑みにしためちゃくちゃなものだった。膝蹴り肘打ち無し、つかみも投げも反則。揚げ句に2分間で8回ハイキックしないとペナルティーという。つまり見栄え重視で痛いのはNGというわけだ。

当日、得意技は全て封印されたまま私はリングに上がった。いきなりのブーイング。ますます頭に血が上る。そこに派手な音楽と共に星条旗をはおったマンソンがさっそうと登場、日本の空手界ではあり得ない演出に面食らった。そしてゴング。まだ30歳そこそこだった私は自分の得意技イコール当試合の反則技のオンパレードを繰り出しまくった。当時全日本格闘技選手権で優勝したばかりだったので、アメリカの小さな団体のチャンピオンなど赤子の手をひねるようなものだ。さすがに肘打ちはやめておいたが、膝で蹴りひねり上げて投げ飛ばしダメージを与えれば与えるほど、レフリーからの警告の数は増えブーイングは激しくなっていった。

こうしてリング上の勧善懲悪の図は出来上がり、私はまんまと最低最悪の空手家に仕立て上げられた。結果は無効試合。ここに至って初めて犯した過ちに気付く。自分はこの地において名声も金もないのだ。格闘家としてアメリカでの第一歩を踏み出すため、理不尽であろうとそのルールを守り試合を成立させるべきであった。それが時間と労力を惜しまず自分をサポートしてくれる友人への礼節というものだからだ。

しばらくしてある夜中、ジェリーから電話がかかってきた。すぐ来てくれと言う。いやとも言えず行ってみると、彼とチンピラがにらみ合っている。私の姿を見つけると、ジェリーはがぜん強気な態度で相手を攻めだした。チンピラも口だけは「ボコボコにしてやる!」などとわめいてはいるが絶対に手は出してこない。そのうちジェリーが調子に乗りすぎて小突くようなまねをし始めたので今度はジェリーを羽交い締めにして抑えつけなければならなかった。翌日ジェリーは「マッちゃん、来てくれてありがとう。でも抑えつけられて痛かった。アザができたヨ!」とお礼と文句を言っていた。

彼が急病で帰らぬ人となり早25年がたつ。渡米以来、多くの方々に支えられここまで格闘技に関わってやってくることができたが、ジェリーはその中でも大切な友人の一人だ。スマートで気さくで兄弟のようなジェリー・ペインの御冥福をあらためてお祈りします。

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<松本保則>
格闘技歴50年、指導歴40年の元日米チャンピオン。20年前にシカゴ郊外アーリントンハイツに「士道館」道場を構える。趣味は愛犬の散歩。

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