【連載】小川夫婦の地球千鳥足 第295回 ~エクアドル~

2020年03月11日
ガラパゴスで見たのと類似の亀

挑戦が好きなゾウ亀君の運命は!?~エクアドル~

大海で泳いでいたゾウ亀A君
 南米のガラパゴス諸島で、大海で泳いでいるゾウ亀に出会った。ダーウィン研究所で沢山のゾウ亀を見てゴムボートで停泊汽船に帰る途中のことだった。大きなゾウ亀が首をもち上げ、ボート上の我々に注意深く目を配りながら泳いでいるのだ。時としては水中に身体を沈め、また浮き上がっては泳ぐ。体長1メートルはあろうか。水面に首を出し、用心を怠ることのないその姿と表情には緊張が伺われる。かつて出会った危険な体験を思い出したかのような真剣な眼差しだ。
 時は夕暮れ、どこまで泳ぐのだろうか。餌を求めて?ねぐらを求めて?ボート上の人間どもの執拗な眼を睨みながら、自らが決めた意思を貫徹すべく泳いでいるのだ。筆者は今しがた見た、飼育されている亀の仲間と思わず知らず比較した。一体どちらの亀が幸せなのか。日がな一日寝そべって暮らす亀と、危険を冒して大海を泳ぎ、生きる糧を自ら得なければならない亀と。食料と引き換えに自由を奪われた一生と毎日が挑戦である一生と、生き甲斐はどちらに?後者の亀の表情を身近に見てその心理に触れた想いがした。その眼は語っていた:「人間を警戒しながらの挑戦人生が好きだ!」と。極めて印象的で、余韻の残る眼であった。

沼地でもがくゾウ亀B君
 ガラパゴス諸島の別の島での情景。かつての入り江が陸地で遮断され、フラミンゴの飛来する淡水の沼になっていた。その沼に動いている生きものを遠くから発見した。凝視するとそれは亀だった。1匹の大亀が岸に近づこうとしているが、近づくにつれて水が引き、もがいている。その沼から灌木群を経て海がある。その亀は海の匂いのする方向へ泳いで来たのはよいが、そこは水が減り泥沼になっていたのだ。泥に身体の自由を奪われ、両手両足を懸命にばたつかせる。が、ドロドロの地面には抵抗がなく、前進出来ない。大きな体を浮かせるのが精いっぱいだ。筆者からは結構な距離があり、時折り頭の向きが変わるのが見えるだけでその表情はわからない。だが、死にもの狂いの彼の動作はひしひしと伝わってくる。その沼が水を満たしていたかつての日、スイスイ泳いだ経験があったからこそ横断しようとしたのだろう。だが、今は底なしの沼、前進しようと意思働けど身体は自由にならない。見ていて哀れでたまらないのだがどうしようもない。係員が助けに行ったが足を取られて諦めてしまった。
 亀は10日間ぐらい食べなくてもよい体質だと言われる。が、いずれは力尽きて死ぬ運命に従わざるを得ないのだろうか。自然の残酷さに心が乱れた。偶然の幸運に会って助かるよう祈るばかりだ。情報の発達している人間社会なら気象状況から予測も行動も可能だ。本能に知恵と工夫を重ねて今日まで進歩し続けてきた人間と異なり、この大亀がここまで生きてこられたことが不思議であったが、それ故にこそ、亀だから、と眼をそらすのは辛い。人間も亀も運命にさいなまれた一個の平等な生命体なのだ。亀の幸運を祈るのみの、筆者の無力さを嘆いた。数年前の、だが、忘れぬ情景だ。

文・写真/小川律昭
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筆者プロフィール
<小川律昭(おがわただあき)> 86歳
地球漫歩自悠人。「変化こそわが人生」をモットーとし、「加齢と老化は別」を信条とし、好奇心を武器に世界を駈け巡るアクティブ・シニア。オハイオ州シンシナティと東京、国立市に居所を持つ。在職中はケミカルエンジニア。生きがいはバックパックの旅と油絵。著書は「還暦からのニッポン脱出」「デートは地球の裏側で!夫婦で創る異文化の旅」。

<小川彩子(おがわあやこ)>80歳
教育学博士。グローバル教育者。エッセイスト。30歳の自己変革、50歳過ぎての米国大学院博士過程や英・和文の著書による多文化共生促進活動は泣き笑い挑戦人生。「挑戦に適齢期なし」を信念とし、地球探訪と講演・発表の日々。著書は「Still Waters Run Deep (Part 1) (Part 2)」「突然炎のごとく」「Across the Milky Way: 流るる月も心して」ほか。
【HP】http://ogawaa.web.fc2.com/
【ブログ】http://blog.goo.ne.jp/ogawaa

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