シカゴ寄席 さん喬師匠・正蔵師匠 二人会

2019年10月16日
chicagoyose

夏夜にぴったりの噺を楽しむ

日本をしばらく離れて暮らすと、自然と母国の文化が触れたくなることありませんか?今年で11回目を迎えるシカゴ寄席は、夏に行われるシカゴの風物詩となり、日本人コミュニティーでは、定着した夏の一大イベントである。今年はインディアナポリスとシカゴ2ヶ所で公演が行われた。

来米11年目を迎え、毎年シカゴに日本伝統芸能を届けてくださる柳家さん喬師匠が、3年前より林家正蔵師匠とタッグを組みアッツアツの笑いをシカゴに届けてくれる。2人の師匠の顔合わせは日本でもなかなか実現しない、落語ファンが羨ましがる寄席である。ライブ落語のいいところは、本題が始まる前に、落語家の体験談やエピソードの話しが聴けること。とくにシカゴやインディアナポリスで体験した話、住んでいる観客たちも一緒に共感を覚えることができる。「その都度その都度思いおこし、のんびりと日本の古典落語を浸って頂いて日本を想ったり、日本の流行を感じてください」とさん喬師匠が来場者に問いかけた。

師匠たちの生で聴く噺は、楽しい!気持い!うれしい!の3拍子が揃う。来場者は、この日を楽しもうと、着物や浴衣姿で会場に訪れる人も多く見受けられた。会場が華やかに賑わい、来場者は配られた助六弁当、お茶とお菓子を楽しみながら、開演を心待ちにする。第一部は、さん喬師匠「そば清」に始まり、正蔵師匠の「一眼国」、仲入りを挟んだ第2部は、正蔵師匠「鼓ヶ滝」さん喬師匠「抜け雀」の全4演目が披露された。

まず第一部はさん喬師匠の「そば清」そばの大食いで有名な噺で、最後までそば清の連勝の行方が分からない、興奮した一席であった。さん喬師匠のそばを豪快に食べるシーンまさに職人芸である。次に正蔵師匠が登壇し、幼い頃師匠がお姉さんと行った見世物屋の体験談をまくらとした「一眼国」。舞台背景を理解するのが難しい話だが、師匠のまくらの部分が、噺をわかりやすくさせ、クライマックスまで、ハラハラドキドキな怪談噺しだった。第2部は正蔵師匠から始まった「鼓ヶ滝」。若かりし頃の歌人・西行法師が体験した奇跡の体験噺、まるで映画でもみているように話に入り込んだ。最後に、さん喬師匠の「抜け雀」は、喜怒哀楽で噺が進んでいき、クライマックスで観客を魅了させた。公演直後に、初のインディアナ公演とシカゴ公演について2人の師匠に伺った。

―インディアナポリスで行った寄席の印象をお聞かせください。

正蔵師匠:インディアンポリスは初めて行きました。シカゴ寄席とは違い、日本の方ばかりではなく、アメリカの方が来てくださって、しかもお子さんを含めて落語のしぐさやストーリーに笑ってくださって嬉しかったです。会場は美術館で行いました。日本の美術も多く、刀と浮世絵が展示されていて、楽しい経験をさせて頂きました。

さん喬師匠:初めてのお客さまが大変多かったです。また補習校の生徒さんも大勢来てくださいましたので、子供さんがこんなにも初体験で笑ってくれるのかなっと思うくらい、良い会でした。アメリカの方々が全体の3割ぐらいいらっしゃったので、パワーポイントを使った英語字幕を用意しました。タイミングよくしゃべりと接続していましたので、アメリカの方も日本の方と同じタイミングで笑っていました。公演後、アメリカの方が私たちに寄ってきてくださり、カタコトで、「トテモステキデシタ」「スバラシカッタデス」と声をかけてくださいました。とても感動して帰ってくださいましたね。

―字幕を通して、そして師匠たちの声や表情そしてしぐさで読み取っているんですね。

さん喬師匠:日本語で落語をやらせて頂く意味はそこにあるんですよね。英語でやると、英語で落語を理解をさせようと考えてしまう。僕たちは、日本語で噺をして、それでお客さまが想像する世界を作っていくことができたらなというのが何よりの望みなんですね。外国の方には、日本語で聴いて、落語の内側を触れていただきたいと思います。そういう意味では、今回のインディアナ公演は大成功したかな。

―今回のシカゴ公演で観客の反応は?

正蔵師匠:お客さまがすごく聞き上手になられている、落語を聞くのを慣れていらっしゃるように感じられました。「話下手聞き上手に助けられる」という言葉があるとおり、お客さまが良いとこちらも乗ってできるので、年々よい落語ができております。

さん喬師匠:正蔵師匠の落語を脇から聞いているんですね。「お客さんが入り込んでいるな」ってその雰囲気が外からでもわかりますからね。客席に座らなくてもわかります。今日もお客さん楽しんでくださっているな、と思うと安心するんですね。自分が上がる時に正蔵さんが高座を温めてくれてるから、何やってもいいやってね。(笑)

正蔵師匠:私は「鼓ヶ滝」という話しをしたのですが、落ちのところで、鼓は手で打つからバチはあたらない、と神様をかけている事を今の日本の子供たちや若い人にもわかる方がいるのかな?と上がる前にさん喬師匠に相談したところ、「今日は絶対大丈夫だよ」って言ってくださいました。

―まだ生の落語を聞いていないけど落語に興味がある方に向け寄席の見どころをお聞かせください。

正蔵師匠:インターネット、DVD、CDなどでご覧なられる方もいらしゃると思いますが、生で聞いて頂けるのが落語の醍醐味だと思います。演芸場に行き、演者がやっていることを笑ったり拍手したりして場の空気を楽しむことも、噺ももちろんそうですし語りもそうなんですけども、落語を楽しむひとつです。ぜひ一度遊びにいらっしゃっていただければと思います。

さん喬師匠:その通りです。初めてお聞きになる方はわからないだろうな?とか、要するに古典とか落語が非常に古くて理解できないだろうなって思う方が大勢いらっしゃるんですね。400年以上続いている落語は、その時代その時代にお客さま方と演者がコミュニケーションをとれ合う芸能ですので、今もつづいている芸能なのですね。ですから怖がらずにぜひ来ていただきたいともいます。

【来場者からのコメント】
人生はじめての落語でした!
行く前は、座って話を聞いて ゲラゲラ笑ってというのをイメージしていました。いざ始まると、噺家の方が作り上げる世界観に圧倒され、それはドラマや映画をみているような錯覚に陥りました。たった一人で話しているのに、何人もの声が聞こえるような感じでした。周りに他のお客さまもいるのに、なぜか一人その世界に迷い込み、その場でのぞき見をしているような、自分も脇役の登場人物の一人になったような気分でした。
落語の魅力は、笑いだけではない、その世界観に引き込まれる魅力があります。それはドラマ仕立てであり笑いが主役というより、物語が主役で、ストーリーを追いかけ、そこにたくさんの笑いがでてくるといった感じでした。 来年もシカゴ寄席を観に行きます!(ニックネーム:ぐれた)

写真・文 Kunie Dohman (7/23/19)

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